Chicago Blog

国内唯一の無可動実銃と古式銃の専門店。
スタッフの日記や元フランス外人部隊兵の声、新入荷の情報などの各種おしらせ、在庫状況など、リアルタイムにお知らせします。

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2018.11.18 Sunday

要人警護のプロ御用達

こんにちは、久々にバッティング・センターに行きましたら、野球に興味全く無しの嫁がホームラン連発!僕よりはるかに高打率で、本気で驚いているキヨミズです。 これからも嫁にケツバットされる様な事はしないでおこう・・・

今回ご紹介しますのは個人的にも大好きな一挺、
MP9-N 短機関銃でございます!001.jpg


製造はスイス ブルッガー&トーメ社。 オーストリア ステアー社開発のTMP短機関銃を原型としており、2001年にTMPシリーズの製造権を購入したB&T社は、2004年よりMP9と改名して販売を開始。002.jpg
元より高い完成度を誇ったTMPに、B&T社は独自の改修を加え、更に現代的で優秀な短機関銃に仕上げました。



まず大きな改修点としてピカティニー・レールの標準装備が挙げられます。
上面はレシーバーと一体成型されたレールが。 もちろん、ボディと同じく樹脂製です。 先端には埋め込まれたフロント・サイトが見えます。 右側面にはネジ式の短いレールを装備。 上面に小型の光学サイト、側面にフラッシュ・ライトといったセッティングが一般的でしょうか。003.jpg
TMP後期モデルから受け継いだフラッシュ・ハイダー。 マズル径より大きく開いたカップ型をしており、発射ガスを前方に集中させる構造となっています。


チャージング・ハンドルはレシーバー後端。 これも樹脂製で、両側からの操作が可能。
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ハンドルの指がかかる部分や、排出口周りが大きくえぐられたデザインが目を引きます。


レシーバーに刻印されたSWISS MADEとB&Tのロゴ。005.jpg


セレクター・システムですが、MP9も当初はTMPより引き継いだトリガーの後退量でセミ/フルを撃ち分けるプログレッシブ・トリガーでしたが、より一般的なレバー式に変更された、現行のMP9-Nとなりました。006.jpg

またトリガー上に設けられたセフティもB&T独自の改修点。 内部にもファイヤリング・ピン・ブロックが設けられており、安全性が増しています。 コンパクトな短機関銃が求められるシビアな環境で、安全性と確実性が求められた結果の改修なのでしょう。

 

特徴的なデザインのバーティカル・グリップ。
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前方に斜頚しており、力を込めて構えますと、フルオート時の反動を押さえ込むような構えになります。



マガジンは半透明の樹脂製。 最近、トランスルーセントって言葉を聞かなくなって久しいですね…
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容量は付属のマガジンで30発。 残念ながら弊社での販売はありませんが、B&T純正オプションとして、10/15/20/25発のマガジンが用意されています。



MP9で標準装備となった折り畳み式のストック。 外装はもちろん樹脂製。 細いストック・アームですが、不安なしなりも無く、高い剛性を感じられます。
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折り畳むには、ストック基部のボタンを押して、右側にスイング。009_2.jpg
バット・プレートは収納時、バーティカル・グリップ保持の邪魔にならない、素晴らしいスマートな設計。
当然、利き手も選びません。


分解の方法も、かんたんに解説しておきます。
方法はまず、レシーバー前方、マズル上部にあります「UP」と書かれた、ヘラ状のパーツを押し込み、
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次にレシーバー後端にありますボタンを押し込みながら、レシーバーを持ち上げますと、010_1.jpg



この通り!ボルト・キャリアやバレル周りの精緻な造型が確認出来ます。011.jpg



戻すには上記のレシーバー後端ボタンを押しながら、アッパー・グループをはめ合わせあわせつつ、
最後はロア・レシーバー両側にある、このレバーを押し下げると組み込み完了。
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整備のし易さ、単純明快さも大きな美点ですね。
(ここでは無可動となった本ロットMP9の分解方法を記しておりますので、付属の実銃用マニュアルにある方法とは若干、手順が異なります)


シリアルが入った純正ハード・ケースに未使用のスリング、マガジン・ローダー、クリーニング・キットが付属します。
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大変希少なB&T純正のサイレンサー&アダプターがセットになった個体も在庫中です。014.jpg
バッリバリ現役の本銃、信頼と実績のある弊社ゆえに仕入れ出来た逸品です。

コンパクトなサイズに凝縮された現用銃のテクノロジーの凄さは、サイズ以上の存在感を放っております。
東京大阪店共に在庫、少数ですがまだございますので、どうぞご検討下さい。
それでは、今回はこれにて〜!


>B&T MP9-N シリーズはこちら
>その他の同時期入荷したB&T製品はこちら

>キートン氏、おつかれさまです!仕入れ時のブログはこちら

 

本日のワンポイント情報!!

買取りで、無可動実銃コレクション約30挺と軍装品(野戦電話機や無線機など特殊な品)が軽井沢倉庫に入荷しました。 具体的な内容は、順次速報でご案内致します。 大量にありますので整理に時間がかかっておりHPアップまで少々お時間がかかるかと思いますが、どうぞよろしくお願い致します。


2018.08.14 Tuesday

スオミ短機関銃の末裔

こんにちは、酷暑を生き延びた蚊は毒も強いのか、久々に刺されたと思ったら、猛烈にかゆくてムヒを塗りたくってるキヨミズです。エリート蚊ですね。ぶり返すタイプのかゆみなんで困ってしまいます。
 

本日ご紹介しますのは、新入荷でやってまいりましたコチラ、
ヤティマティック 短機関銃です。001.jpg

フィンランドの工業都市タンペレ市に存在した、タンペレーン・アセパヤ社(TAP)にて開発・製造されました。設計者は同社所属のJali Timari氏。その名から Ja“ヤ”、姓から Tim“ティ”を取り、機械や機構を意味する Matic“マティック”を組み合わせ、“ヤティマティック”と命名されました。



さてヤティのマティックとは、どの様な物なのでしょうか?!
まずは特徴的なバレル配置。上の一枚目の画像で、レシーバーの張り出し部分の直線と、バレルを見て頂くと、平行な配置ではない事が見て取れます。これはボルトの軸線上に対し、バレルが上方向に角度を付けて設置されており、発射時の反動を、ボルト前後動のエネルギーで相殺(軽減)を目的とします。古くはフランスのMAS Mle 1938、最近ではクリス・ヴェクター等に見られるデザインです。
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金属製のアッパー・レシーバーはプレス製。厚手の鋼板を使用しており、華奢さは感じません。



こちらも大きな特徴であるフォア・グリップ兼セフティ・レバー兼チャージング・ハンドル。
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閉じた状態でセフティ・オン。起こしてスライドさせるとコッキングされ、握ったまま(起こしたまま)射撃となります。このグリップも、起こした状態で、前方にわずかな角度が付けられており、反動を押さえ込む形となっております。

 

 

折り畳んだ状態。この状態ではセフティ・オンとなります。
単純明快なセフティ・システムも大きな特徴と言えます。005.jpg


排莢口のアップ。真四角ではなく逆カマボコ型になっているのが興味深い。006.jpg
ボルト・システムはシンプル・ブローバック、オープン・ボルトでの激発です。
無可動では画像の位置で固定されているため、確認出来ませんが、コッキング位置では排莢口に“FIRE”の文字が現れます。



レシーバー左側の刻印部。フィンランド独特の物でしょうか?使用弾薬を示す“9.00 Para”は他に見覚えの無い、ちょっと面白い表記法。007.jpg
金属プレス製のアッパーと、合成樹脂性のロア、グリップ部のコントラストがはっきりと判ります。金属部はツール・マークが残っていたりしますが、線や造型がはっきりとしており、濃いガン・ブルーの表面仕上げもあり、大量生産を目的とした造りでありながらも、フィンランド製らしい丁寧さ・美しさが感じられます。



フォア・グリップ以外は一体成型のロア・レシーバー。見た目以上に細く、緩くもうけられた角度により握りやすく、ホールド感も良いグリップ。008.jpg
トリガーは後退量でセミ/フルを切り替えるプログレッシブ・トリガーです。
フルオート時の発射速度は600〜650発/分。



リアのスリング・ループ兼用のレシーバー・ロック・ボタン。
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これを押し下げますと、


この様にオープン。
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長いリターン・スプリングとガイド、そして大柄なテレスコーピング型のボルトが確認出来ます。


意欲的な設計を盛り込み、軽量・コンパクトに纏め上げた本銃でしたが、先行する競合の短機関銃を凌駕するには至らず、短機関銃自体の需要も少なかった時期にも重なり、商業的な成功は収められなかったようです。
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生産時期は1980年から1987年頃まで(本格生産は83〜86年)と短く、大規模な採用も無かった為、現存数は非常に限られた物だと思われます。
映画(スタッフBさんが紹介していた定番の「コブラ」や「若き勇者たち」等々)での出演や、日本ではトイガン化により、意外なほど知名度がある本銃ですが、その知名度とは裏腹に、非常に“レア”な機種で、状態も非常に良いため、是非ともオススメの一挺です。


…と、本ブログを書いてるうちに、この個体(#5101)を残すのみとなりました。ありがとうございます!気になる方は、どうぞお早めに。それでは今回はこれにて!!


>ヤティマティック 短機関銃 (#5101)はこちら
>こちらも希少で残りわずか!ヤティマティック ホルスターはこちら

 

本日のワンポイント情報!!

東京店在庫品で、 ステアー・マンリッカー M95 歩兵銃 カット・モデル の新たな個体を HPとD/P(詳細画像) にアップいたしました。ぜひHPをご覧ください。 

ステアー・マンリッカー M95 歩兵銃 カット・モデル (15万円、税別) こちら


2018.06.07 Thursday

スペイン・アザラシの牙

こんにちは、弊社ナベさんもオススメする映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」ですが、今年の夏にDデイ直前を扱った「チャーチル/ノルマンディーの決断」が上映されるそうですよ。「ウインストン・チャーチル」の続編ではなく、チャーチルを演じるのはゲイリー・オールドマンではなく、ヒゲを剃ったブライアン・コックス。 ヒトラーに続き、チャーチル映画も乱発されるのか、ちょっと気がかりなキヨミズです。


今回はこちら、先般の新入荷で入りました品の一つ、
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スペイン製 スター モデロ Z-84 短機関銃 です。


開発は1970年代。当時のスペインでは既に優秀な スター社製 Z-70/B 短機関銃 を配備していましたが、スター社はその後継と、輸出需要をにらみ、プレス製レシーバー、グリップ内マガジン・ハウジング、L字型ボルトといったUZI 短機関銃に似た設計の “Z-75” を開発しますが、小口径高速弾を用いるアサルト・ライフルの普及もあり、量産には至りませんでしたが、1980年代に入り、スペイン政府機関より新たな短機関銃の開発要求があり、スター社はZ-75をベースとしたZ-84を開発しました。
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要求仕様には、水中から上陸後、即座に射撃できるOTB(Over-The-Beach)性能や、ホロー・ポイント弾頭への適合性が盛り込まれています。当時のスペインでは、激化するバスク紛争や、国内を通過する犯罪組織の増加に対処するため、沿岸部や河川といった、文字通りの“水際”での作戦が重要視されていました。担当する海軍UOEや国家憲兵隊GEO等の特殊部隊は、西側諸国の特殊部隊と交流し、小型舟艇やスキューバーを用いた新戦術を開発しており、そういった現場から出された要求ではないかと思われます。


バレルは本ロットの8.5インチ・モデル(約215mm)と、11インチ(約270mm)の、2種類が用意されました。バレル・ナットはネジ式で、実際に用意されたかは不明ですが、サイレンサー等のマズル・ディバイスが装着可能です。
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四角いレシーバーですが角はちゃんと丸めてあります。側面の◎はテイク・ダウン・ピン。
画像の側から押し込むと抜けます。


少しでも水抜けを良くするための配置でしょうか、排莢口は真上に。
エジェクターの位置を見ると、排莢方向も真上のようです。
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左側面に位置するチャージング・ハンドル。ボルトと連動しないノン・レシプロ式です。
ロアとアッパー・レシーバーの合わせ目にガイドとなる隙間を設けた合理的な設計。


トリガー・グリップ周り。スライド式のセレクターが目を引きます。誤作動防止のため、セレクター・レバーを押し込みながらスライドさせる必要があり、少々コツが要ります。
トリガー後部に見えますクロス・ボルト式のセフティ。画像の状態で発射状態となります。
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今は亡きスター社のロゴと、型式、口径の刻印が見えます。9mmパラ・モデル以外にも、スペインが長年愛用していた、強力な9mmx23Largo弾を使用する、Z-84GC(GC=グラディア・シヴィル。国家憲兵隊)モデルも、僅かながら存在しており、弾道変化による物か、より精密なサイトが要求されたのか、リア・サイトのガード・ウイング形状が外観上の違いとなるようです。


UZIにあったグリップ・セフティは廃止。その代わりに、という訳ではありませんが、コッキング途中に誤ってコッキング・ハンドルを離してしてもボルトが勝手に前進して暴発をしないようにボルトをストップさせるインターセプティング・ノッチ機構、ボルトが慣性で後退しないように固定するイナーシャ・ロック機構が備わっており、安全性への配慮も怠りありません。
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マガジン・キャッチ・レバーは、左右から操作可能なこの位置。UZIの祖先?チェコのSa Vz.23と同じ位置です。グリップ・パネルは合成樹脂性。濡れても滑らせないための工夫でしょうか、なかなか凝った形状をしております。


リア・サイトを望みます。100mと200mの2段式です。
L字型のサイト・ブレードは、角のたった四角い形状。
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セトメ・モデロLも、
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Z-70/Bも、四角いですね。
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70〜80年代のスペイン製小火器に見られる特徴の一つです。


レシーバー後端にあるストックのロック・ボタンで押し込んで解除、上方に回転させて、画像のように収納となります。
008.jpg
と、簡単に書きましたが、ストックにも凝った機構が備わっています。
(東京店スタッフ・ケンさんが詳しく解説されておりますので、そちらで!


形状や操作系統の配置等を見ていると、UZIよりも後発の、ステアー MPi69/MPi81の影響を強く感じました。
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(画像は在庫中の、MPi81 ロング・バレル・モデル)


最後は、上でリア・サイト・チラ見せしてくれた、スペイン軍同期と並んでの一枚。Saludo!!
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ごく限られた数しか生産されなかったZ-84ですが、とても信頼性が高く、現場では好評だったようで、
今日でも一部が現役であると伝えられています。
一見シンプルながら、プロの要求に応えた、実に凝った設計がなされたZ-84。
スター社最後の、もしかするとスペイン国産最後の短機関銃、となるかもしれません。
お手持ちのコレクションに加えられる価値のある、貴重な一挺です。

このZ-84はマガジン付きを見つけるのに社長が相当苦労したようで「もう二度と輸入しない」と言ってますので、国内で売り物は現在庫の2挺限りとなります。
是非ともご検討下さい。それでは今回はこれにて!


 


>スター モデロ Z-84 短機関銃 はこちら
>スター モデロ Z-70/B 短機関銃 はこちら
>セトメ モデロL 自動小銃 はこちら
>ステアー MPi 69 & MPi 81 短機関銃シリーズはこちら

 

 

本日のワンポイント情報!!

買取りで、M53 汎用機関銃 が東京店に入荷しました。 HPとDetailed Photos(詳細画像)は本日アップしております。 価格は現時点では決まっておりませんが、ご予約頂いているお客様にご案内の予定です。 キャンセル待ちも承りますのでお気軽にお問合せください。

M53 汎用機関銃 はこちら


2018.05.08 Tuesday

アメリカのエゲつなさ

こんにちは、気持ちいい五月晴れが続きますね。五月と言わず、どうせなら九月ぐらいまでこの穏やかな天候が続けばいいのになと、小学生並みの考えなキヨミズです。
 



本日取り上げますのはこちら、
M50 短機関銃 で、ございます!
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U.S. Model 50 サブマシンガン、通称“レイジング”として知られる本銃は、第二次世界大戦時、米軍の短機関銃として採用されました。開発者はユージン・ライジング技師。氏は、かのジョン・M・ブローニングの元で働き、コルトM1911ピストルの最終設計に関わった優秀な技術者として知られていました。M1911に携わった後、テキサスやメキシコで何故かカウボーイとして働きつつ、民間向けライフル等の設計を行っていました。1930年代後半、日増しにキナくなるい欧州情勢に、短機関銃の需要増大を予見したライジング氏は、新たな設計に取りかかります。1939年、米陸軍に制式採用されたばかりのトンプソンM1928A1は、高コストであり、重量も過大であると考えられていました。米軍内への配備はもとより、レンド・リース法による海外への武器援助が決まり、ますます需要が逼迫。そこで、より低コストで軽量な短機関銃の製造を模索していた中、ハーリントン&リチャードソン社(H&R)に提出したライジング氏の設計案が注目され、本格的な開発がスタートとなります。

外観こそ円筒形レシーバーに木製銃床を備えた保守的な物でしたが、当時としては先進的なプレス製法と溶接結合を多用し、優れた生産性(M1928A1の3〜4割程度のコスト)と、トンプソンに比べての大幅な軽量化 (M1928A1の
本体のみの重量が約4.9kgに対し、レイジングM50の本体重量は約3.1kg!) を実現しています。命中精度を重視し、短機関銃では珍しいクローズド・ボルトでの激発機構が採用され、機関部はボルト移動によるバランス変化を考慮した設計が施されました。完成した銃は、設計者から“レイジング”の名付けられます。

1940年の8月、レイジングを最初にテストしたのは意外な事に英軍で、ダンケルク撤退直後の「このままではドイツ軍が上陸してくるかもしれないのに武器がないっ!」と、大急ぎで再武装を行っている時期でした。結果は残念ながら不採用。量産時の品質維持管理に不安があったとされます。H&R社は、民間向けでは大きな成功を収めていましたが、軍用としては信号銃しか生産しておらず、これが実績不足とみなされ、不利に働いたのかもしれません。

 

結局、英軍はレンド・リースでトンプソンを貰いつつ、ステン・ガンを開発・採用となります(単純に登場時期を見比べてみても、レイジングがステン・ガン製造に何らかの影響を与えた可能性は大いに考えられます)次に米陸軍が1941年11月にテストを行います。軽敏さと命中精度(特にセミオートでの)に良好な評価を下しましたが、信頼性に問題があるとして改良を指示、1942年初頭に再テストが実施されますが、そこでも不具合は解消せず。またも採用見送りになるかと思われた矢先、目をつけたのが武器不足に苦しむ合衆国海兵隊でした。
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米軍内でもいち早く、短機関銃の有用性を認識していた海兵隊ですが、設立以来、武器配備の序列において下の方だったため、装備更新は遅れがちでした(この辺り、ドラマ“ザ・パシフィック”でも象徴的に描かれてましたね)・・・が、1941年12月8日、太平洋戦争が勃発。アメリカ側が次々に拡がる日本軍の拠点に侵攻するには、上陸作戦を得意とする海兵隊の投入が必定となり、大急ぎで装備拡充が計らた中での採用でした。固定ストック型をModel 50、折り畳みストック型をModel 55として制式採用し、僅かな小改良の後、量産がスタート。 1942年8月より繰り広げられた、ガダルカナル島での戦いより、実戦投入が行われました。(と同時に、レンド・リースでソ連やカナダにも送られました)


トンプソンゆずりとも言える、マズル・ブレーキ(コンペンセイター)が装着。フルオート時の発射速度は、M50で約550発/分。トンプソンよりかなり抑えられたものの、短機関銃としては一般的な発射速度ですが、弾頭重量の重い.45ACPを発射するには、軽量で曲銃床であるM50は、コントロールに問題が付きまといました。
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前方開口部が上のみ開かれています。上方へのガス噴き出しを増やすためでしょうか?スリットも前方の2本は長くなっています。手間のかけ様に、反動制御に苦心した跡が見えます。


ここもトンプソンゆずり。前方にゆるくテーパーのかかったバレルは、冷却用のバレル・フィンが設けられています。

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本ロットの品は量産型で14枚のフィンですが、極初期モデルは28〜29枚の細かいフィンがつけられていた様で、コスト低減のため簡略化されました。
 


ストック前方、バレルの下側にコッキング・レバー(アクション・バー)が備わっております。 これは素晴らしいアイディアですね。位置的に視界や操作を妨げる事はありません。
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レバーに穴が開いているのは、コッキング補助用にヒモを等を通すためでしょうか?


レシーバー上方には大きく、H&R社製と型式、パテント刻印が確認できます。
さすがアメリカですね。
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ユージン・ライジング技師はH&Rの他、モスバーグやサベージでも働き、生涯で銃砲に関する60以上!もの、特許を取得したそうです。


リア・サイトは最長300ヤードまでの4段階。
サイト・ブレードの弾性を用いたシンプルな仕組みです。
007.jpg
セレクターはその下にあります。スライド式で手前よりセーフ、セミ、フルです。
レバーはプレス製の簡易な物ながら操作は容易です。が、砂や泥が入り込むと問題が起こりそうです。


レシーバー・エンドは先行するベレッタ短機関銃などに見られるキャップ式。ボルトが後ろに抜け、整備時の分解が容易という、大きな利点があります。
そのボルト、ボルト・キャリアが溝に沿って上下動するライジング式(ややこしいですがライジングのライジング(せり上がり)式。ティルティング、ティルテッド式とも呼ばれます)の遅延機構を備えているのですが、この溝に汚れやゴミが溜まり易く、作動不良の原因となったようです。この機構自体は自動小銃や機関銃にも用いられる、シンプルで効果的な物だったのですが、ライフル弾薬に比べて作動圧の低い拳銃弾を使う短機関銃、特に野戦用の短機関銃には不利となったようです。また、ボルト自体が軽量だった事も影響したようです。
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リア・サイトはアメリカらしくピープ式。シンプルですが視野良好で狙いやすいサイトです。

 

 

トリガー・ガードはストック直にネジ止めされています。機関部からは突き出るトリガーのみ。
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トリガー・アセンブリーごと外れるガーランドや.30カービンと比較すると、味気ないと思える程、シンプルな造りです。


マガジン・ハウジングです。後方にありますのがマガジン・リリース・レバー、更にその後方がストックとレシーバーを留めるテイク・ダウン・スクリューです。010.jpg
ハウジングとレバーは数度にわたり改修され、幾つかのバリエーションがあるようです(本ロットの品は、画像の型で統一されています)


特徴的なマガジン。元々、複列20連のマガジンでしたが、給弾トラブルが多発したため、両側面にリブを設け、単列12連に改めた苦肉の策です。この12連型マガジンに合わせたハウジングの改修も行われました。マガジンとハウジングを作り直さなかったのは、戦時生産という事情があったのでしょう。根本的な解決に至らぬまま、使用が続けられました。
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一見するとイケそうですが、トンプソンのボックス・マガジンとは互換性はなし。


前面には刻印と、残弾確認用の穴があいています。
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ここからもゴミが侵入し、トラブルの原因となったようです。


数々の不具合を抱えながらも、ピンチ・ヒッターとしての役目を果たしたレイジング短機関銃は、トンプソン・シリーズの増産が軌道に乗ると、艦上や後方警備、沿岸警備隊や州兵部隊等に回されます。頻繁な整備が行える現場では不具合は抑えられ、またフルオートが必要とされる場面はあまりなく、装弾数の少なさが問題になる事もなかったようです。むしろ、クローズド・ボルトで発射するセミオート時の命中精度の高さや、付随被害の少ない拳銃弾を使うカービンとして重用されたようです。セミオート限定としたModel 60も誕生しており、戦後、警察関係へ払い下げられ活用された事例からしても、本銃の高いポテンシャルを伺え知る事が出来ます。

 


最後にM1928A1とM1カービンを挟んでの一枚。レイジングM50を調べるうちに、丁度この間に収まる中間的性格の銃であるように感じました。013.jpg
そして何より凄いのが、大戦中にあれこれ造る片手間に、レイジング・シリーズを10万丁!!も造った、アメリカ工業力の凄さ(関西弁ではエゲつなさ!)を改めて実感した次第であります・・・


保守的な外観に、当時、先進的な設計盛り込んだ本銃。
海外への供与が限定的だった事もあり、現存する物はとても貴重との事。
今回、複数挺入りましたが、どれも良好な状態です。

因みにこのロットは戦後太平洋戦線で使用された後、米軍から東洋の某国へ払い下げられた品です。 某国とコネクションのあるオーストリアの業者が20年近く前に立てた輸出計画にシカゴ社長が相乗りしたものの、一度オジャンになってしまい、また別のオーストリアの業者が輸入に成功してシカゴに回って来たと言ういわく付きの品です。 当時からこの情報を知っている古いお客様から「社長! あのレイジングがやっと入りましたね!!」と言われたそうです。
米軍コレクターの方のみならず、希少品コレクションに充分値する逸品ですので、
どうぞご検討下さい。それでは今回はこれにて!


>US M50 (レイジング) 短機関銃はこちら
>M1 カービン シリーズはこちら
>トンプソン M1928A1、M1、グリースガンはこちら

 

 

本日のワンポイント情報!!

先日お知らせした新入荷品をHPとD/P(詳細画像)にアップいたしました。 ぜひHPをご覧ください。

 

本日アップした商品は下記の通りです。

 

US M1A1 カービン (#5200088) こちら


2018.04.29 Sunday

ちなみSPASの最初のSは、後に“Sports”のSへと変更されたそうです

こんにちは、自転車用に使用している某LEDフラッシュライトを洗濯機でうっかり洗っちゃったキヨミズです。うっかりにも程があると我が事ながら思いますが、ライトはしっかりと点灯しました。スゲー!



今日はコチラ、スパス 12 ショットガン です!
新入荷のスパスは東京店スタッフ・ケンさんが先に紹介していますが、大阪店にも固定ストック・モデルが入荷しておりますので、改めてご紹介させて頂きたいと思います。
(なので、一部被るネタがありますのはご容赦を)
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スパス=SPAS。“Special Purpose Automatic Shotgun”から頭文字を取って、“SPAS”と名付けられたこのショットガンですが、開発はイタリアのフランキ社。19世紀より続く老舗です(現在はベレッタ傘下) 同社がそれまで培ってきた民間向けショットガンのノウハウを用いて、軍や警察向けに特化した“コンバット”ショットガンとしてSPAS12を開発、1979年に発表しました。

チューブ式マガジンを備え、ワンタッチで切り替え可能なポンプ・アクションによる手動とガス圧式のセミ・オートの作動方式、合成樹脂とプレス製パーツの多用、といった先進的な機能に加え、大胆とも言える“ムチャクチャかっこいい!”(注:感じ方には個人差があります、が、スパスをかっこいい以外にどう表現しましょう!!)デザインが施され、デビュー当時から鮮烈な印象を与えました。
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ターミネーターを始め、様々な映画やメディアに登場するSPAS12ですが、実戦では良好な信頼性を発揮し、イタリアのGISやNOCSといった対テロ特殊部隊に採用された他、海外でも軍や警察の特殊部隊を中心に採用されました。いずれも限定的な配備に終わったようですが、後継のSPAS15、ベネリやFABARM等によるタクティカル・ショットガンの開発に、少なからず影響を与えたとされています。


口径は12ゲージ。チューブ・マガジンの装弾数は7発。
5〜8発までバリエーションがあるようです。
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金属部はパーカライジング処理がされています。
プレス製の四角いヒート・ガードが精悍かつ物々しい雰囲気をかもしだします…


リア・サイト前方にある、手動(M)と、半自動(A)の切り替え表示。これは、

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フォア・エンド下にある、このボタンを押しながら、004.jpg
先の表示の位置にフォアエンド後端を合わせる事により、作動モードを切り替えます。
Mの手動時はフォア・エンドが可動し、Aの半自動に合わせると、フォア・エンドはロックされます。
半自動は一般的なバック・ショットやスラグを用いた連射による制圧射撃。手動は、催涙ガス弾やビーン・バック弾などの、弾頭重量やガス圧が種類により大きく異なる非致死性弾薬の使用時、といった想定がされていたようです。


レシーバー部。ここは黒の焼付け塗装がされており、色味が異なっています。
ボルト・キャリアにハンドルが見えます。006.jpg
下側はショットガンにはお馴染みの、ローディング・ゲート。


レシーバー前方にあるボタンは何?・・・かと、調べてみますと、マガジン・カットオフ・スイッチでした。007.jpg
このスイッチ押しながらボルトを引くと、マガジン・チューブからはシェルは給弾されず、ボルトは開放位置でストップ。開いた薬室に必要なシェルを入れて、再びスイッチを押すとボルトが閉鎖され、射撃準備完了、となります。



こちら側にあるのがキャリア・ラッチ・ボタン。
これを押しながらでないと、チューブ・マガジンへの装弾が出来ません。
008.jpg
構えたまま素早い装填が不可能なため、ここがスパス12の弱点とする意見があります。


セフティはトリガー前方、スライド式と回転式セフティに2種類のセフティを備えます。

009.jpg
回転式セフティは当初、ボタン式でしたが、操作が容易で確実な回転式に改められました。


固定式ストックです。合成樹脂性でピストル・グリップと一体成型されています。
スリング・ループも一体になっております。010.jpg
見た目の印象に反し、思いの外、軽量でスリム。フォールディング・ストックの印象が強いスパスですが、
この固定ストックも(当然ながら)しっかりと定まっており、とても良い感じです。


最後の一枚は、別売の20連マガジンを装着したM16A1を並べての一枚!射程600のプラズマ・ライフル?今は在庫にありませんが、うちの社長ならそのうち仕入れるかもしれませんよ!?
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スパス12、メディア露出の割には生産総数は多くなく、無可動ともなると更に希少です。
現在、フォールディング・ストック・モデルが東京店に一丁、固定ストック・モデルが大阪店に一丁のみ。
どちらも状態はとても良好な品です。
ご興味ある方は是非ともご検討下さい!それでは、今回はこれにて!!



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本日のワンポイント情報!!

買取りで、ハンガリー AMD65 自動小銃が東京店に入荷致しました。 HPとDetailed Photos(詳細画像)は近日中にアップする予定です。  価格は現時点では決まっておりません。 何卒ご了承くださいませ。


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