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2019.01.06 Sunday

4.5 cm PaK 184(r) 対戦車砲の戦歴 アジア後編 ノモンハン事件

皆様こんばんは新年明けましておめでとうございます〜ナベです。

 

今年も元気にシツコク4.5 cm PaK 184(r) 対戦車砲でございます〜(このネタで年を跨ぐとは・・・)。

 

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で、今回の45mm対戦車砲の活躍の舞台は1939年のノモンハン(ラマ教の法王に由来)の大平原でございます。 WW2が始まる直前、国境線問題で39年5月から9月にかけてこの草原で日ソ両軍が激突、ノモンハン事件が発生しました。 →の辺りがノモンハン・・・もっと北西だと思ってた・・・。

 

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このノモンハン事件、「事件」とは言うものの日本軍2万数千、ソ連軍5万数千、双方戦車重砲航空機を繰り出し両軍合わせておよそ18,000人近い戦死者(日本軍約8,000、ソ連軍約10,000)を出す実質的な「戦争」でした。 写真は三十年式銃剣を着剣した三八式歩兵銃を片手に敵陣地へ突撃する日本軍歩兵。

 

シカゴ在庫の三十年式銃剣はこちら

 

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「ソ連・外モンゴル軍に対しては(日本兵は強いので)三分の一程度の兵力で十分」(関東軍司令部)、「一個師団位いちいちやかましく言わないで、現地に任せたらいいではないか」(陸軍大臣)、「ソ連戦車なんか怖るるに足らん。それは兎を狩るようなものだ・・・我らは外蒙はおろかウラル山脈を越えてモスコーを衝くんだ!」(某陸軍少将)と慢心無責任意気軒昂な日本陸軍でしたが・・・。 写真はソ連軍に捕獲された大量の九二式歩兵砲(手前)と九四式速射砲(奥)。

 

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結果、圧倒的な戦力(装甲戦闘車輌は日92輌VSソ800輌以上、大型火砲日70門VSソ542門、航空機日255機VSソ582機)を誇るソ連軍に対し日本の最前線の兵士、現場指揮官の奮闘によりソ連軍に対し自軍以上の損害を与え戦術的には大健闘。 ・・・しかし主力の日本陸軍第23師団は壊滅、国境線はソ連側の主張の通りとなり戦略的には大敗北してしまいました。 恐ソ病に罹患した日本陸軍はその後、目標を北から南へあっさり方向変換し南方へ進出、米英との衝突を招くこととなります。 一方ソ連は東の日本を叩いたことにより安心して停戦2日後の9月17日にドイツとの密約により西方のポーランドへ侵攻します。 写真はソ連軍のBT-5快速戦車。

 

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・・・本題の45mm対戦車砲ですが昔、読んだノモンハン関連の本では対戦車砲大活躍!と確か書かれていた記憶が・・・。 写真はノモンハンで活躍する45mm対戦車砲と言いたいところですが後ろにT-34/85中戦車がいることからWW2後半の写真?

 

早速ノモンハン関連の本を読み返すと確かに対戦車砲大活躍!但し日本軍の九四式37mm速射砲が・・・。

 

ソ連軍が800輌も戦車や装甲車を投入したら必然日本軍対戦車砲が大活躍せざるをえない・・・ソ連軍の報告による自軍戦車の損害の内、対戦車砲が75〜80%、火炎瓶攻撃5〜10%、野砲射撃15〜20%、地雷、手榴弾、空襲2〜3%だったそうです。 あれ?火炎瓶思ったより少ない? 写真は装甲の薄いソ連戦車を多数撃破した殊勲の九四式速射砲。

 

九四式速射砲の照準眼鏡はこちら

 

しかし当然、日本軍も虎の子の戦車連隊を投入しましたのでソ連軍の45mm対戦車砲との戦いも発生しました。 写真はノモンハンで戦った日本軍戦車各種、左上九五式軽戦車、右上八九式中戦車、左下九七式中戦車、右下九二式重装甲車(他にも九七式九四式軽装甲車も交戦)。

 

これらの日本軍戦車(最も装甲の厚い九七式中戦車で25mm、一番薄い九二式重装甲車は6mm!?)に対しソ連の45mm対戦車砲は猛威を振るい、日本軍戦車第三連隊が攻撃をかけた際には陣地前方にチョコザイにもピアノ線を設置、車軸やキャタピラに絡まって立ち往生した日本軍戦車討ち取っています。 (ピアノ線もそうですがスピーカーで日本民謡や騒音を流したり、偽情報を掴ませたり、何処が攻撃目標か分らせないよう欺瞞攻撃をしたり、夜中に爆撃機を飛ばして日本兵を睡眠不足にしたりとソ連軍意外と芸が細かい)

 

戦車第四連隊長だった玉田美郎大佐は「敵の対戦車砲が優秀であり、その徹甲弾は日本軍のものよりずっと威力があった」と記憶し、またある日本軍将校は「閃光を見るか見ないうちに我がほうの戦車に穴があいていた。そのその砲撃の正確さもまた驚くべきものがあった」と記しています。(写真は日本軍将校向け冊子「偕行社」昭和十五年四月第五十七号に掲載されている45mm対戦車砲によって撃破されたと思われるノモンハンの九七式中戦車)

 

 ピアノ線障害物についての偕行社記事の中にも対戦車火器(ノモンハンではソ連軍は対戦車ライフルを使ってないのでこの「対戦車火器」は45mm対戦車砲のことと思われます)の文字が確認できます。 

 

また例によってノモンハンでも日本軍は45mm対戦車砲を相当数捕獲しその砲で臨時対戦車砲部隊を編成、司令部に攻撃をかけて来たソ連軍戦車を撃退したりするなどのケースも多々あったそうです。

 

今回後編で最終回予定でしたが次回補足の追加編で(やっと)45mm対戦車砲ブログ最終回です!では!

 

4.5 cm PaK 184(r) 対戦車砲はこちら

 

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