映画と銃「On Her Majesty's Secret Service」
御機嫌よう、スタッフBでございます。
今回は「女王陛下の007」をやらせて頂きます。
実は先日AR7のお話をさせて頂いて・・・ふと思い立った次第。
007映画ならば他にここで書ける作品、書きやすい作品があるわけですが・・・
あえて異色作のこちらの話にいたしました。
その昔、英語の先生がOn Her Majesty's Secret Serviceを授業のつかみで話しまして・・・
On Her Majesty's Secret Serviceは直訳いたしますと「英国諜報部員」になりますが・・・それですとOn Her Majesty'sの部分が活きてきません。英国諜報部員という言うだけならOn Her Majesty'sを使わなくてもいいわけです。
あるいは文章の流れによっては英国諜報部員と訳しますが、タイトルになると少し違う。これをそのまま「英国諜報部員」と訳す人は「英語はできるがセンスや情緒の無い人」と言われかねないという。
意味合い的には「(世界に冠たる)英国のエージェント」とか「我が女王陛下の諜報部員」のような意味が入ってきます。
そんなわけでタイトルとしては「女王陛下の007」というのは悪くない感じ。
ただし誤解を生むタイトルともなっているという (女王陛下は登場しません)。
しかし映画の内容はもっと異色でした。
まずは初のショーン・コネリー以外のジェームズ・ボンド。
この人です。
ジョージ・レーゼンビー
実はこの直前まではせいぜいモデル程度の人でした。ただしCMには出演していたそうで、英国では良く知られていたそうです。今で言うモデル上がり。しかも大抜擢だったことでしょう。
それ以前は軍隊で格闘教官だったとか。
なんとなく野性味よりお金持ちのスポーツマンという感じで、コネリーとはかなりイメージが違います。
いや、登場してすぐにこのシャツのヒラヒラがいけなかったかも知れませんが・・・
ジョージ・レーゼンビーで一作しか作られなかった理由は、当時の評価もそうなのですが(興行的には充分高い)、レーゼンビーは実際に格闘シーンもスキーも自身でできてしまうことからスタントを嫌がり、その辺りでスタッフとのそりの合わなさなどもあったそうです。
これが今なら「このシーンは本当に彼がやっています」と評価が上がるところですが、これも時代だったのでしょう。
実際に格闘シーンでは普通に相手を投げ飛ばしています。
なお、興行的には問題無かったため、続投の話も決まっていたそうで・・・実は本人自身が「辞めるよ」とあっさり降板してしまったようです。
ともあれその後紆余曲折有りつつも、その後もそれなりに役者としても活躍 (ボンドのパロディも)。さらに私生活では実業家として悠々自適。好きなスポーツも満喫。加えてロジャー・ムーアとは旧知の仲とか(こうして聞くと、なんだか楽しそうな人生です)。
さらに異色なのはシリーズ唯一ボンドの結婚があります。
これがボンド唯一の妻テレサ。
他のヒロインとは違いなんとなく派手過ぎないのが逆にそれっぽい印象です。銃こそほとんど使いませんが、ツンデレで行動派。
派手さという点では確かにダニエラ・ビアンキ(ロシアより愛をこめて)とかと比べると印象に残り難いかも・・・という話をケンにしたら、「私はマリアム・ダボ(リビング・デイライツ)とソフィー・マルソー(ワールドイズノットイナフ)が好きです」という答えが返ってきました。
結婚式ではボンドとマネーペニーとの言葉無しの挨拶が印象的。
ボンドとマネーペニーの関係ってなんか良いですよね?
宿敵ブロフェルドは二度目の顔出し。
テリー・サバラスはこの頃は怪優でしたからぴったりです(個人的にプレザンスのプロフェルドも好きです)。
さらに本作はラストがかなり異色であることは言うまでも無く、それはここではあえて申し上げません。
さて、ここでご紹介するからには銃が結構面白いのです。
ラストのバトルではスターリング。
そりゃ英国部隊だものスターリングで当然・・・と思ったらさにあらず、ラストでスペクターと戦うのは後のボンドの義父になるドラコ率いる犯罪組織の皆さんです。英国が動けないからボンドが未来のパパを巻き込みました。
悪党一家です。
とにかくスターリングがカッコ良く使われているラストのクライマックス。
個人的に好きなボンドの氷上滑り射撃。
その後、マイアミバイスでドン・ジョンソンがM645で同じようなことをしてました。
そしてスターリングは確かにカッコ良く使われているのですが・・・
なんとスペクターが使用しているのが・・・
わかりますか?
Stgw.57でございます。
これは・・・なんて強力な・・・スペクターヤバイです。
それこそラストバトルのみならず、ちょっと追跡してくるザコまでが・・・
この辺りはロケ地の関係のようでございますね。
拳銃もSIGが出てきたりいたします。
それどころか当時のポスターではボンドがSIGを・・・
そんなわけなので、問題のラストでの銃撃もてっきりStgw.57だとずっと思っていました・・・
しかしながら先日良く見ていましたら・・・
これが例のラストの・・・
シリーズでたまに出てくる「怖いオバハン」。
実はM16に大きめのハイダーを付けたもの。あるいはStgw.57に似せたのか、それともチョークの関係か・・・
他、冒頭には例のAR7が登場しております。
さらにこの回からボンドのホルスターが黒に変わったようです。
コネリー時代は青いハーネスに白の柔らかい革(セーム革っぽいヘナヘナです)だったのが、黒はデザインは同じでももっとしっかりした革のようです。
一説によると、原作にあるバーンズマーチン製ショルダーホルスターは現実には当時リボルバー用しか無く、しかし映画がヒットするとバーンズマーチンが映画のデザインのPPK用を作成したとか (それがこの黒タイプ)・・・。ヘナヘナな革で無くなったのは、ホルスターメーカーとしてはさすがに銃を入れる部分がヘナヘナのホルスターは作れなかったのではないかと想像してしまいます。
この後あまりホルスターをつけているイメージの無いロジャー・ムーアもピンナップではこの黒のホルスター姿で写っていました。
他にも曲もメインテーマ以外ではシリーズでは数少ないスパイっぽい曲。
本作は近年になってからラストのくだり、また原作通りの作品としても再評価され、その後のボンドが口を揃えて「自分の作品でリメイクしたい」という話でもあります。
ダニエル・クレイグがあと1本という話もあるようなので・・・あるいはこの話になるかも知れませんね(前回駆け落ちしましたから、女王陛下⇒ダイアモンドのような流れになるかも)。
>>Stgw.57はこちら
>>不思議な味のある民生版SIG510-4もございます。こちら
>>AR7はこちら
>>残念ながら本ブログの時点でSOLDOUTのスターリングでございますが、ご予約も承っております。こちら
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