Chicago Blog

国内唯一の無可動実銃と古式銃の専門店。
スタッフの日記や元フランス外人部隊の声、新入荷の情報などの各種おしらせ、在庫状況など、リアルタイムにお知らせします。

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2013.06.30 Sunday

M1カービン色取り取り

どーも、ケンです。

私は今までM1カービンの件はあまり取り上げていなかったなぁ・・・と。


比較的最近だと「魅惑の機関部『ガスピストン式(ショートストローク)』」とかくらいですかね?
思い起こすとM1カービンって、あまりに有名過ぎるし、どちらかと言えばフェチズムKの分野だし・・・
というのが感じであえて取り上げていませんでした。

というわけで詳しいところはフェチKにお任せで・・・

個人的に思うのは・・・
とにかく扱いやすい。
古参の自衛官の方に聞いても「日本人の体格にあっているよ」と言う方も多い。

何しろムリ無く構えられるし、撃ち味もライト。寸法や重量もムリ無い大きさ。

開発経緯の後方部隊用の火器あるいは指揮官用兵器として、軽量で長時間の携帯に疲れず、小銃と短機関銃(拳銃)の中間として開発された銃。
そしてそんなコンセプトは後のPDWコンセプトにも近く、さらにM2のフルオート付ともなれば、アサルトライフルの前身的な存在でもあるような。

なお、前述したコンセプトに「ボディアーマーを抜くことができる」「片手撃ち可能」というものを加えれば、いよいよ最近のPDWコンセプトになりますね。

ですから・・・当時としては結構先進的なコンセプトの銃とも言えます。
何しろライフルでも短機関銃でも無い。
先進的過ぎて最初は「こんな威力無い銃ダメじゃん」と現場から噂されたり・・・まあ、当時はフルサイズライフル弾の時代だったわけですから、批判もあって当然かと・・・

威力は357マグナムと同じくらいとか1.5倍とか言われていますが・・・詳しい方に聞いてみると、「弾自体の性能は357と同じくらいだけど、銃の銃身長い分威力上がってるんじゃないかな?射程もね。」という意見がありました。

ともあれ結果的にアメリカはもちろん、あちこちで、そして日本でも後年使われた息の長ァァァァい銃なわけですから、間違いなく名銃です。

さらに言うなら、その昔の日本の刑事ドラマ全盛時代には狙撃銃と言うと98kスポーターかM1カービンスポーター辺りが圧倒的に多かったという。これはその辺りしかスコープが付けられて木製銃床っぽいトイガンが無かった(他に実銃が出てたり)という事情もありますけど・・・特にM1カービンのスポーターは軽くて役者さんが扱いやすいという理由もあったようです。

そんなわけで日本では自衛隊から庶民(映画やドラマ)まで馴染みのある銃だったわけですねー。

さてさて・・・
そんなM1カービン。
今、シカゴには結構複数種類のM1カービンがあるのです。

こんな写真は以前にもご紹介しましたねー。
DSCN1241.jpg

まずご紹介するのは・・・お値打ちシリーズ。
¥52,500〜¥73,500のM1カービンです。
DSCN1186.jpg


上から¥52,500、68,250、73,500
DSCN1191.jpg

これはお値打ち!
M1カービンに限りませんが、こういう10万切っちゃった!と言う商品は今後同じ価格で同程度のものは入荷が難しいと思ってください。

特徴として、
戦後イタリア軍から放出された品で、機関部は全てオリジナルの米国製(インランド社製)。
DSCN1195.jpg

ストックの一部は戦後(イタリア?)製となっています。
そして、その後フランスに輸入された際に、(極初期の)フランスの無可動加工として銃身の一部分を切断してあります。
また刻印がほぼ全てM2(M2以後のロッドはM1もM2の部品で組み立てられるからかな?)。
状態も適度な経年の迫力とコンディションの良さが相まってますのでお薦めです。
それでいて無可動実銃入門用にもできるお値打ちさ。
価格がライトな感じはまさにライトなM1カービンという感じです。

なお、価格差の¥52,500〜¥73,500は木部の仕上げを中心とした状態差です。

単なる状態差とは別に、木部はこんな感じと
DSCN1198.jpg

こんな感じが多いようです。
DSCN1200.jpg

甲乙は付けがたいですね。

あとストックにはこのような
DSCN1192.jpg

FAT刻印があるものが多いようです。

特に実際にご覧になって購入されるお客様は仕上げを良く観てご検討されて下さい。あなたの1丁が見つかるかも知れません。


お次にご紹介するM1カービンは・・・
前述したものと同時期の仕入れのもので、仕様も基本的にほとんど変わりませんが・・・
DSCN1202.jpg

・・・実は「Winchester社」製です。
DSCN1207.jpg

M1カービンを最も多く製造したのは「Inland社」ですが、有名な「Winchester社」が製造したものというと、また趣があります。
そんなわけで値段もちょっとお高めなのですが、刻印あるいはそのヒストリー的に「Winchester」と聞いてゾクゾク来る方は特にこちらをどうぞ。

前述のお値打ちシリーズよりちょっとお高いですがそれでも10万円を切る¥94,500ですので、充分お値打ちですね。
特にこちらは数に限りがありますので、ご興味のある方はお早めにご検討下さい。


そしてもう1丁。
こちらは・・・違いがわかりますか?
DSCN1208.jpg

いわゆる旧加工なのです。
DSCN1210.jpg

これを書いている現在で1丁のみ。
旧加工は買取下取りでしか手に入れられないため、やはり貴重です。
ゆえに価格もお高めになる場合が多いです。

それでもやっぱりボルトは閉じていた方がいい、という方などはこちらがお薦めですね。

こちらはエキストラクターが外されており、ボルトを固定している溶接の一部が外にはみ出ています。またボルトの溶接の関係で普通のマガジンではボルトの溶接の関係で完全な位置までに入ってくれません。つまりマガジンキャッチがキャッチしてくれないのです。
ですから、マガジンリップが折り込まれたマガジンがついております。
DSCN1212.jpg

このような難点もあるため、旧加工としてはお値打ちな価格ですね。
逆を言えば旧加工品を手に入れるチャンスです。

というわけで、今ならば色々選べるM1カービンなのでした。


この機会をお見逃し無く。

>>扱い易さも価格もライトなM1カービンはこちらから一覧でご覧頂けます。



本日のワンポイント!!

本日買取りでMP44 突撃銃(旧加工品)、MG34(旧加工品)が東京上野本店に入荷しました。
既にHPにアップしておりますので、是非ご覧下さい。
価格は調整中です。


2013.06.29 Saturday

棚卸しでお勉強

こんにちは

元外人部隊です。

前回の出張をブログネタにしようと思っていたのですが

写真が揃い、いざ書き始めようと思ったら記憶がぼやけて断念しました。

ブログは新鮮さが命ですね!

なんとなく憶えているんですが説明できるほど詳しく憶えていないもので、、、。

 

 

と言うことで!

新鮮なネタです!!

そして今回は記念すべきブログです!

 

何が新鮮で記念すべきかといいますと

まずは今回のネタは昨日行われた棚卸し中であること。

そしてこのブログで自分が初めてフランス軍ネタ以外を取り上げます!

いやぁ ようやく他の銃を取り上げれましたよ!

でもこれまでは自分の経験を元に書いていたブログなので

これからのものはシカゴのお客様からみられたら

「今更、何を言ってるんだ」と思われてしまいそうなレベルですが

そこは勘弁していただきたいです。

 

 

さてさて前置きが長くなりましたが今日の本題はこちら!

全体図.jpg

 

現代の名銃!

AKシリーズ!!!!!

銃のことを全く知らない方でもこの銃だけは知っているという

もはや銃の代名詞とも言える銃ですよね。

しかし国々でバリエーションも多く奥深い

入門の方にもコアな方にも対応している万能銃ですね!

 

すみません

個人的にもAKシリーズが好きなので褒めすぎました。。

ちなみに新しいAKM・74系よりも重厚感のある47系が好みです!

使うなら別ですが、、、。

 

 

また話が逸れましたが

今回棚卸しで気付いたのですが

そもそも棚卸しとは商品番号と実際のシリアルNo.を照らし合わせ在庫確認をしていくのですが、

なにせシカゴは種類が多い。

一言にシリアルと言っても打ってある場所もバラバラですし国によって打ち方も違うので苦労します。

外人部隊でも「毎日の在庫確認」では数量はありますが、銃の種類が限られていたので楽でしたね。

 

 

そこでどのように違うかを見てもらおうと
「同じものでも
バリエーションと国の特性がわかりやすいAKシリーズの登場です!」

 

 

それではまずはこちら!

47 ロシア.jpg

 

元祖AK

AK47(2型)お国は母国ロシアでございます!

47 ロシア02.jpg

 

パッと見ても判りやすく深々と打たれて

何があっても消えなさそうないいシリアルですね!

しかし数字の前に打たれたアルファベットがロシア語(キリル文字)で

??となってしましますが数字は読み間違えないいいものですね!

しかも4桁と意外と少ない数字での構成です。

 
47 ロシア03.jpg

 

言葉の違いと言うことでセレクターの写真も同時に載せていきますね。

3段階のセレクターの上段がセーフティ。中段のABと言うのが連射。

下段が単発のOдです。

 

続いて47系ですが国が変わります!


58 北.jpg
 

58式!! 北朝鮮のものです!

北朝鮮の武器手入るんですね!

閉ざされたイメージがあったので店に北朝鮮のものがあってびっくりしました

それでは本題のシリアルですが。


58 北01.jpg

 

お!

ちょっと傾いてる気がしますが中国のものより深く打ち込んでて

しっかりしたものになってますね!

数字の横に付いてるアルファベットなのか数字なのかわからないのはハングル文字だそうです。

 

 58 北02.jpg


セレクターもハングル文字で他のAKと同じように中段が連射・下段が単発になってます。

 

 

さて、時代も変化しますので

47シリーズからAKMシリーズに移らせてもらいます

ちょっと前までは色々な国のAKM達がいたのですがしばらく見ないうちに少なくなってしまい

もう一度母国ロシアの登場です!

AKM .jpg

 

同じ国でもレシバーの加工が削り出しからプレス加工に変化してますので

その違いをふまえてご覧下さい。

AKM 01.jpg

 

んー

削り出しの物に比べて深々しさが無くなっている気がしますが

相変わらず読みやすいハッキリしたシリアルで助かります!

 
AKM 02.jpg

 

なんだかセレクターの方が深く打ち込んでる気がするのですが、、、。

 

 

 

続いては
五六式! 中国です!

56 .jpg

 

五六式といえばこちらはAK47(3型)がモデルになっていますが
写真に載っていますものはプレス加工。
と言うことはAKMも分類になります。
変な話五六式は削り出しでもプレス加工でも五六式の名称のままなんですよね。
なので今回はAKMの分類として紹介させてもらいます。


 

先ほどのロシア製と大体同じものですが

なんだか同じ商品でも中国製の商品と聞くとなんだかスペックが落ちたように

感じてしまいますがどうでしょうか?

実際に写真で確認しましょう!

56 01.jpg

 

おお!

意外としっかりしてる!

でもロシア製のものに比べると打ち方が浅い気もしますね

ちなみに番号は3402429ですよ

皆さん読めましたか?

写真だと実際に見たより反射などで読みにくいですが

こちらの五六式も読むには全く問題なしでした!

56 02.jpg

 

こちらは輸出用だったのでしょうか?

セレクターは連射のL、単発のDとなってます。
これは何の略なのでしょうか?
英語ではないですよね。

 

 

 

 

 

それでは

次行きます!

AKMS エジプト.jpg

 

こちらもAKMS)です!

出身はエジプトです。

AKMS エジプト01.jpg

 

さて問題です!

このシリアルは何番でしょう!?

自分もまさかこれじゃないだろうと思っていたのですが

まさかのこれでしたよ

AKMS エジプト01-02.jpg

 

はい。

もはや打ち込んでいません。

これは職人の手作業によるものですね

職人の心意気が伝わってくるものでした

 
AKMS エジプト01-03.jpg

 

本国では多分こちらのものでやっていたのでしょうが

母国語では他の民族がシリアル読めない!

ってことで臨時で付けたんでしょうね。

AKMS エジプト02.jpg

セレクターはちょっと薄い感じではありますが
こちらは問題ないですね!
アルファベットなので誰でも理解できます。

それにしてもすごいやつでした。

あ。

問題の正解ですが522911でした!


それでは次!

と言いたいところですが、
一番上の集合写真のRPKだとかAK74だとかを紹介したいとこですが、、、。
意外と写真も多く長くなってしまったので
本日はこの辺にさせて頂きます。
続きはこのブログの反響によって決めさせていただきます!

それではまた!AKMS エジプト


2013.06.28 Friday

ちょっと変わった五六式

皆様お世話になっております。スタッフBでございます。

これまで「御機嫌よう」とご挨拶させて頂いておりましたが・・・
最近スタッフの人数が増えたこともあってか「ごきげんよう」と言うご挨拶が増えてしまいまして・・・
なんとなく変えることにいたしました。

さて、今回は・・・たまたま五六式の画像を撮っておりまして・・・少々面白い点に気付いた次第です。

まずはこちら。
1.jpg

五六式に関しては今更説明する必要もあまりなく、AK47(III型)のコピーでございます。

とはいえ、同じようなコピーをしてもどこかを変えるのは中国。
まず目立つのはスパイク銃剣。そしてフロントサイトのドーム状のガードなど。
特にドーム上のフロントサイトガードは意外に知られていない特徴であったりいたします。



そんな五六式、気が付けば世界各国あちらこちらで見かける銃となってしまいました。

映画に関して言うならば、設定上AKSと言いながら実際撃っているのは五六-1式というのはわりとよくある話で、ある意味名脇役でもあるのでございます(五六-1式なのはスパイクが無いのよりAKに見えやすいこと、また折り畳みストックのため役者が使いやすいなどの理由がございます)。



さらにコピー銃でありながら、なぜか個性的に見える、というか印象的というか・・・
銃に興味の無い人が見たならAKと同じ銃に見える。しかしながら銃に興味がある人が見ると一目でわかることが多い。先に上げた違い以外でも・・・金属部も木部もなにか質感の違いがございまして。それがプラスティックになると尚更。
ちょっと不思議な銃なのでございます。

ではそんな五六式の今回の話をば・・・。

はいこちらでございます。
5.jpg

これだけ見て、おやおや?と思うお客様は鋭いと思います。

通常の五六式のストックのスリング・スィベル位置はこちらでございます。


そして今回ご紹介の五六式のスリング・スィベルは移設されておりまして・・・
ストック左側面にあります。
3.jpg

元の位置の部分は・・・
元の位置の跡もしっかり残っております。
4.jpg

なぜ、ここまでして?
あるいはAK47 III型の位置に近づけたのでございましょうか?
こちらは元祖AK47 III型
6.jpg

AK47 III型の方はストックにスリング・スィベルがあるわけではございませんが、フレーム後端の左側面という、ほぼ同じ位置にございます。

7.jpg

なお、フロントのスリング・スィベル位置は今回の五六式も、通常の五六式も同じでございます。
9.jpg

そして・・・なぜこうしたのか?という実際の理由のほどはよくわかりません。

隊で流行ったのか?あるいは部隊で強制されたのか?もしくはスリングが長いものが無かった?いえいえ・・・どれもしっくりいたしません。

個人的には前後どちらのスリング・スィベルも左側面にあった方が使いやすいとも思います。
これが右側面ですと・・・背中にボルトハンドルが当たって痛い思いをします。
ただしその後のタクティカル・スリング、3点スリングなどが使用されるようになると、前後のスリング・スィベルを特に左側面に固めて位置しなくとも良いかとも思うようになりますね。

しかしながら・・・謎は残るのでございますが、珍しい個体であることは事実。
ちょっと人とは違うものが好き、というお客様にいかがでございましょう?


>>スリング・スィベルの位置がちょっと違う五六式小銃はこちら


さらに他のお品もいかがでしょう?


>>その他を含めた五六式はこちら

>>実は映画でお馴染み五六-1式はこちら

>>さらに元祖AK47 III型はこちら


2013.06.27 Thursday

やりました!

ごきげんいかがでしょうか、アパッチJでございます。

   アパッチJ、とうとうやりましたよ!
     
初フィールドストリッピング!!

分解01.jpg
IMG_1953.jpg

今さら?とツッこまれそうですが
ひじょーに嬉しかったもので ☆\(^o^)/☆

IMG_1954.jpg

最後はちゃんともとの形に組み立てて、完了です!

       う〜ん♪ コレは
           たーのしぃぃぃーっ♪♪
       テンションあがりますぅぅぅ
       笑いが止まりません

「J」 もシカゴスタッフっぽいじゃん!
なんてニヤニヤですよ〜  自己満ですね〜
ホントうれしい


今まで部品の名称もいろいろと耳にしてきましたが、
名前を聞いたり部品だけを見てもイメージが浮かばなかったり。。。ピンとこなかったり。。。

それが実際に分解してみると、外見からはわからない構造やら動きやらが見れるわけで
「J」の頭の中で、各部品の役割りなんかがやっとつながりましたー!
  トリガーハウジング とか
  セーフティー とか … ね!

IMG_1948.jpg            

ちょっとわかったら、やっぱり嬉しいもんで
もっと知りたくなるわけですよ
もう、いろいろやりたがりです(笑)

今回「J」の分解に協力いただいたM1ガーランドは、
つい最近のスタッフTさんのブログで紹介されています。

おや!?
IMG_1956.jpg

ちょっと目を離した隙に、ガーランド バラバラ事件!
散らばったパズルのピースみたいになってます。
    うんうん、実際にはこんなに細かな部品で構成されているのですね

しかし、こーなってしましまいますと「J」にはもうまったく手がつけられず・・・

    師匠フェチスタKさんの仕業でした。
    そして、流れるような手つきでいとも簡単に組立てしまいました。
    先輩方にはまだまだかないませんね
    さすがです!!

そんな、フェチスタKさん出演のテイクダウン動画が、シカゴHPはもちろんYou Tubeでも見ることができます。
久しぶりに分解してみたくなった方も、おさらいしたくなった方も、ご参考にいかがでしょうか(^_-)-☆

「J」の初フィールドストリッピングにお付き合いいただきました 『イタリア ベレッタ社製 M1ガーランド』はこちら


2013.06.26 Wednesday

AR-10の多彩なバリエーション

こんばんは、アルバイトKです。

今回は、現在東京店4階ショーケースの一角を占拠しているこちらの方々……
AR10-01.jpg

ご存知、「アーマライト AR-10」です。

アーマライト AR-10は、M-16で有名なアメリカの銃器設計者 ユージン・ストーナーが1950年代半ばにデザインしたアサルトライフルです。


M-16に良く似ていますが、7,62mm×51 NATO弾を使用し、コッキング・ハンドルがキャリング・ハンドル内にある点が特徴的です。

AR-10 アサルトライフルは、1957年からオランダの「
Artillerie Inrichtingen(AI)」社でもライセンス生産が行われました。シカゴ在庫品のAR-10は全てこのオランダ・AI社で製造されたモデルとなります。

さて、このAI社製AR-10ですが、よーく観察してみると大きく分けて二種類のバリエーションが存在していることに気付きます。

AR10-02.jpg
こちらがシカゴで「キューバン・モデル」と呼ばれているモデルです。
AI社製AR-10の中では初期型に相当するモデルで、1958年に2,508丁がスーダンに軍用として輸出された事から「Sudanese(スーダン)・モデル」とも呼ばれるようです。

AR10-03.jpg
そしてこちらがシカゴで「トラディショナル・モデル」と呼ばれているモデルで、ライフル・グレネードを発射できるモデルになります。
AI社製AR-10の中では後期型に相当するモデルで、1960年にポルトガル軍用として1,556丁が輸出された事から「Portuguese(ポルトガル)・モデル」とも呼ばれるそうです。

この他にも、スーダン・モデルからポルトガル・モデルに切り替わるまでの間に「Transitional(過渡期)・モデル」と呼ばれるモデルが製造され、ビルマ・キューバ(100丁)・イタリア・グアテマラ(数百丁)等に輸出されたようです。

というわけで、AI社製AR-10は過渡期モデルも含めると、大きく分けて3タイプ存在するということになります。

そんなAR-10のバリエーションですが、一見して分かる大きな違いはハンドガードでしょうか。
1.jpg
初期型のスーダン・モデルでは樹脂製一体型のハンドガードなのに対して、後期型のポルトガル・モデルでは前半分が金属で後半分が樹脂製のものになっています。自衛隊の89式小銃にちょっと似てるかも??

次に目に留まりやすい違いはバットストックです。スーダン・モデルとポルトガル・モデルでスリングの取り付け位置が変わっています。
2.jpg

バット・プレートは前期型のスーダン・モデルが金属製でクリーニング・キットが収納出来るのに対し、ポルトガル・モデルでは分厚いゴム製のバット・プレートになっています。

3.jpg

コッキング・ハンドルの構造も異なります。前期型のスーダン・モデルではシンプルな形状のコッキング・ハンドルでしたが、後期型のポルトガル・モデルでは真下に押し下げてロックを解除するタイプに変わっています。

4.jpg

さりげなくボルト・リリース・レバーの形状も異なっていますね。。

5.jpg

そしてなんと・・・ボルトキャリアの形状まで異なります。スーダン・モデルではボルトキャリア表面が平面的なのに対し、ポルトガル・モデルでは表面が少し立体的なデザインになっています。

6.jpg

フラッシュ・ハイダーも前期型の三又タイプから、後期型ではバードケージ・タイプに。
この辺りの改良はM-16に通じるものがありますね。

7.jpg

次にフロントサイト周辺を見てみましょう。

すっきりとしたデザインのスーダン・モデルに対して、ポルトガル・モデルではフロントサイト・ポストの根元にライフル・グレネード発射時に使用するガス・レギュレータのノブが追加されています。
8.jpg

また、写真のポルトガル・モデルは着剣ラグ(青丸部分)が銃身の上に付いています。ポルトガル・モデルの中には、着剣ラグが銃身の上についているタイプと銃身下についているタイプの二種類が存在するようですが、その理由は謎に包まれています・・・。

銃剣については、スーダン・モデルがFG-42の銃剣を製造していたことで有名なドイツ
の「Carl Eickhorn」社製、ポルトガル・モデルはAI社純正の物を使用するようです。ただし、ポルトガル向けのAI社製バヨネットはわずか1,600本程度しか製造されなかったようです…。

さて、上の写真で「?」マークを付けた部分の突起ですが・・・
AR10-15.jpg
このようにライフル・グレネード用のサイトを取り付ける為の物のようです。取ってつけたようなデザインが潔くて素敵です。

スーダン・モデルとポルトガル・モデルの違いはまだまだあります。

9.jpg
写真ではちょっと分かりにくいですが、スーダン・モデルではバレル表面にフルートが彫られています。後期型のポルトガル・モデルではこのフルートは廃止されています。

最後に、見落としがちですがなんとセレクターの表記まで異なっています。

10.jpg
スーダン・モデルのセレクターが「AUTO→SAFE→SEMI」の順に配置されているのに対して、ポルトガル・モデルではより一般的な「SAFE→SEMI→AUTO」の表記に変わりました。(スーダン・モデルはセレクター・レバーが簡単に発射位置に入ってしまいそうで怖いですね。)

このように、AR-10 スーダン・モデルとポルトガル・モデルの細部の違いを見てきたわけですが・・・

シカゴにはなんと「スーダンとポルトガルのハイブリッド」的なモデルが存在します!

それがこちら。
AR10-14.jpg

前半分がスーダン・モデルで、後半分がポルトガル・モデルというなんとも奇妙なモデルです。最初からハイブリッドとして製造されたのか、それとも現場でそれぞれのパーツを組み合わせて作られたのか・・・ちょっとフシギですね!

シカゴ在庫品のAR-10には、この他にも(色違いなども含めて)1丁として同じ銃がないといって良いほど沢山のバリエーションがあります。

皆様もぜひ店頭でAR-10バリエーションの奥深い世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。

>> AR-10の各バリエーションはこちらです。

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