Chicago Blog

国内唯一の無可動実銃と古式銃の専門店。
スタッフの日記や元フランス外人部隊の声、新入荷の情報などの各種おしらせ、在庫状況など、リアルタイムにお知らせします。

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2017.07.31 Monday

古式銃のホルスターを作ろう。

どーも、ケンです。

シカゴもいつの間にかすっかり登録証付古式銃が増えまして・・・
登録証古式銃というのは100年以上前で、現行の金属薬莢ではない弾薬を使用するものなら拳銃もOKなわけですね。
当然、フリント・ロックの単発やパーカッションの単発、あるいはパーカッションやピン・ファイヤーのリボルバーとかなら登録証が下りるわけです。
逆にその手の銃でも現行のレプリカとかはダメ(時代的な保存価値を認められないからアウト)。あとは時代的にはいいけど、弾薬が現在も存在するモダンなものだからだめとかあります(竜馬の銃がこれですね)。

さてシカゴのあるばいとSスタッフの中にも結構古式銃好きはいるわけです。でも古式銃はさすがに時代を買うようなもので、高いですから・・・トイガンで我慢。将来金持ちになったら買えば?みたいな。

そんな古式銃好きスタッフ所有のトイがコルト M1849 ポケット・リボルバー でしてね。
そう言えばシカゴの登録証付古式銃でも、トイでもあったねー、と。
で、ホルスターがほしいというので・・・作りました。
誕生日プレゼントだったかな?

まあ、この場合、トイ用として作ったんですが・・・
まんまシカゴに本物もあったしね(人気があって今は在庫が無い)。
こちら本物 (登録証付古式銃)
20140113_546689.jpg
本物は質感がスゴーく違います。あと木が年月で少し痩せた後にまた艶が出るとかがね・・・こういうのは年月が必要です。

というわけでホルスターを作ったので、勿体無いからシカゴで書いておきます。

とはいえ私、ウェスタン系のホルスターはあまり作ったことがありません。
嫌いとかではなくてね。理由は・・・革を多く使うんですよ。

ちょっと図面めいたものを・・・
2.jpg
普通のホルスターがこんな感じだとします。

青い部分は銃という立体収めるためのマチですな。これが無いと完成した時、銃が入らなーい!となります。
緑の部分は縫いシロですね。

ここまでは現用ホルスターの作り方とあんまり変わりません。ここにベルトループを付ければOK。
2-1.jpg
これで緑の部分を縫えば、基本的に完成です。

ところが・・・ウェスタンだとこんなのがあるでしょう?
3.jpg
ベルトループにしておるわけなんですがね。
これがね・・・厄介。

つまり図面的にはこう。
4.jpg

通す部分の切り目を入れた方がわかりやすいかな?
5.jpg

グリーンで書き足したとこが切れ目。

ここにホルスター本体通すわけです。

ま、つまり現代ホルスターより革を倍くらい多く使うわけですよ。
なので勿体なくて、あんまり作らないという。

実際の作り方は昔書いたホルスターの作り方と変わりません。

でもこんな部品も・・・
2014052421310000.jpg
プラグとか言うんだったかな?

本体に付けたとこ。わかります?
2014052601380000.jpg
底蓋です。
合わせの部分(コバ)の処理をまだしてませんので側面粗いです。

ちなみに赤いのは古式銃好きのスタッフの好みです。赤い染料なんて初めて使いましたよ。

この時初めてやりました。
そして少し歪んだ・・・

このプラグ。90度に革を合わせて90度に縫う。厚い革ならではですね。サイコロ振る革のコップとかこんな縫い方です。
でもホルスターの蓋は小さいから大変。
このプラグというものは現代ホルスターにはありません。マズルの汚れを防ぐわけですが、穴が開いていても、逆に中にほこりがたまりやすいし、口を閉じたかったら、普通に縫ってしまいますので。
ぶっちゃけ革職人の腕自慢みたいなものです。

なお、この縫い方、外周の革とプラグ部の大きさが違うため、縫い穴の数が合いません。なので縫う時に調整しつつ縫います。

ホルスターの縫いがだいたい縫い終わるとこう。
2014052601390000.jpg
今見るとホルスターの縫い目が二重になっているのはモダンな感じです。西部開拓時代は一回縫いが、当時っぽいですね。反省。

例のベルトループになる部分が大きいのは後で調整して切るから。

私、図面引かない人なのです。型紙も大量生産するわけでは無いから作らない。
頭の中に立体図面のようなものがある感じです。

さて、できました。
2014052722340000.jpg
さっきのベルトループがわかりますか?
ちなみにこのループ部は、そのままだと本体が通りません。この状態でホルスターもベルトループもほとんど動かないくらいだし。
濡らして通すのです。

現代ホルスターほどじゃありませんが、少し銃の形がホルスターに出ているのも同じ手法です。

画像が少ないのは・・・撮る余裕がなかったから・・・(笑)
元々ブログにするんじゃなくて、プレゼントしたスタッフに経過送るつもりで撮った画像だったのでしたとさ。

最後にこれを作ったときはすでに登録証付古式銃のコルト・ポケット・リボルバーの4インチが無くなっていたので・・・合成画像で・・・
2014052722320002.jpg

こっちはトイね。
2014052722320001.jpg

こんな風に登録証付古式銃を (そうっと、慎重にね) 入れてみたかったねー。

それにしてもなんで赤なんだろう?

というわけでたまには古式銃のホルスターでした。

>>銃身違いはまだあります。コルト M1849 ポケット・リボルバーはこちら
>>弊社の登録証付古式銃はこちら




本日のワンポイント情報!!

買取りで、三八式歩兵銃 が東京店に入荷致しました。

 

HPとDetailed Photos(詳細画像) は本日中にアップする予定です。

 

ご予約を頂いているお客様がおられますが、キャンセル待ちもお受けしておりますのでお気軽にお問い合わせください。価格は現時点ではまだ決まっていません、何卒ご了承くださいませ。


2017.07.30 Sunday

意外な共通点!?

皆様こんばんは、キートンです。

 

先日、新入荷で東京店に入ってきた無可動たちを店頭にて整理しておりました所、7,62mm仕様のFN MINIMI 汎用機関銃の銃身上に何やら気になる刻印が…

 

むむ…これは…

 

近づいてよく見ると、なんと古式銃でお馴染み (?) のあのマークが…!!

 

楕円形の中にE.LGの文字が入ったこちらの刻印は、ベルギー・リエージュのプルーフ・ハウスで打刻されるプルーフ・マーク (検査刻印) で、E.LGとはフランス語で「Liege Epreuve」の略となっています。 直訳するとリエージュ・プルーフのような感じでしょうか? (そのままですね…)

 

今回のMINIMIを製造しているFNハースタル (エルスタル) 社のあるエルスタルもベルギーのリエージュ州にありますので、リエージュのプルーフ刻印が入っているのも納得ですね…。

 

E.LG刻印のデザインは内容や時代により数種類あるようですが、今回のMINIMIに入っているE.LGの刻印は1893年以降から使われ始めたリエージュ・プルーフ・ハウス最終検査刻印のようです。

 

因みにシカゴ在庫品の古式銃の内、E.LG刻印の入っている品を探してみました所、ベルギーで製造されたルフォーショー・リボルバーにE.LG刻印の入っている個体がいくつか見つかりました。

 

シカゴ在庫の古式銃に入っているE.LG刻印は写真のようになっています。 MINIMIのE.LG刻印の様な王冠は付いていませんが、楕円形の中の文字などはほぼ同じデザインですね。

 

こちらの王冠の無いE.LG刻印は1810年から使用されていた最終検査刻印ですが、1893年からMINIMIに打刻されている王冠付きの物に変更されたそうです。

 

150年近く前に製造された古式銃と最新鋭の汎用機関銃にほぼ同じ刻印が入っているというのは何とも不思議な気もしますが、ベルギーだけでなくイギリスなどでも同様に古くからのプルーフ・マークの中には現在でも使われている物があるようです。

 

細かな刻印一つを見ても意外な歴史が垣間見られるのは興味深いですね。

 

それではまた!!

 

>> FN MINIMI 汎用機関銃はこちら

>> ベルギー製のルフォーショー・リボルバーはこちら

 

 

本日のワンポイント情報!!

買取りで、MG42 汎用機関銃 (対空リア・サイト付) が東京店に入荷致しました。

HPとDetailed Photos(詳細画像) は本日アップしております。

ご予約を頂いているお客様がおられますが、キャンセル待ちもお受けしておりますのでお気軽にお問い合わせください。

MG42 汎用機関銃 (対空リア・サイト付)  (47万円、税別)


2017.07.29 Saturday

さすが天下の MR223A1

こんばんはアルバイトSです。

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今回はMR223A1、HK416の民生用ですね。M(atch)R(ifle)223と名づけるところにHKの自信みたいなものを感じます。

HK416が米軍の特殊部隊向けに作られたのは言わずもがなですが、高価格と部品の調達しにくさで本格的な採用はされなかったようですね。その点、実は軍用よりも競技用に向いているようにも思います。

重量もそこまで重い印象は受けませんが、とにかくカッチリしてまして、何処をとってもガタツキらしいガタツキはまるでありません。さすが天下のHKとも言えるイイ造りしてます…!

DSCN0966.JPG

民生用と言うことでフルオートは省略され、セミオートとセーフティの2ポジションです。

これはもう民生用ではお約束みたいな物ですね。

DSCN0972.JPG

レシーバーの側面には至る所に刻印が打たれています。そういえばFNなんかですと、銃の一部にバーコードやQRコードが印刷されていましたが、HKではそういう管理はしないみたいですね。コードの類のシール、刻印は見られませんでした。

鉄砲は当たってナンボ撃ててナンボですが、「HK」と入っているだけで迫力が出て価値が上がるようです……!

DSCN0964.JPG

ボルトにまで「HK」と入っています…!

DSCN0965.JPG

MR223A1では軍用のHK416と一部部品が異なるようで、例えばグリップはアングルがより直角に近く、フィンガー・チャンネルが無いタイプとなっています。 またHK416とはスリング・ループの位置が異なっていまして、加えて外見上では分かりませんが、銃身内のニッケル・プレートがMR223では省略されているんですとか。それについてHKは、HKが作る高品質の銃身ならそれでも問題なく、しかも長寿命であるなんて言ってるんですとか。

細かい所では、テイクダウン・ピンがSIGのような片側から押しながら反対側から押さないと抜けないプランジャー付きになっていました。

DSCN0970.JPG

ストックはHKのちょっと大型のタイプですが、バット・プレートを捻ると外れて、中がコンパートメントになっています。

中にポンチを兼ねたレンチが入っていました…!

DSCN0979.JPG

一方で付属品もありまして、紙箱がついてきます。非常にシンプルなボール紙で飾りっ気の欠片もありません。

中身も長いクッション材が二つ折りで入っているだけです。

箱についても各メーカーで個性が出ますね。

CZはド派手でしたし、FNは中の仕切りが銃の形になってたりしました。

DSCN0980.JPG

そしてその中にはマニュアルも。ドイツ語ですが写真が豊富に使われています。

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断面図から始まり、撃ち方、狙い方、掃除の仕方、順を追って丁寧に解説されています。

DSCN0982.JPG

DSCN0978.JPG

どうもハンド・ガードはこのネジ1本で留まっているようです。

ガタツキなどまるでありません。強固に固定されているのも技術力の証ですね。

そんなMR223A1は東京・大阪それぞれ1丁ずつとなりました。お値段もそれ相応ですが、是非ともこの機会に。

 

>>MR223A1 自動小銃はこちら

 

 

本日のワンポイント情報!!

買取りで、無可動実銃コレクション4丁が東京店に入荷致しました。

HPとDetailed Photos(詳細画像)は順次アップしていきます。価格は現時点ではまだ決まっていません、何卒ご了承くださいませ。

 

FN モーゼル M1924 短小銃

モーゼル スタンダード 短小銃 × 3挺

 

以上4挺です、HPアップ作業や価格設定などの進捗状況は随時本シカゴ速報にてお知らせ致します。


2017.07.28 Friday

「毒を喰らわば皿まで」より「賽は投げられた」でお願いします!!

まいど!  シカゴの商売「故事、ことわざ、名言」で表すとしたら。 色々とありますが…、シカゴさん、頑張りますねぇー! 「賽はなげられた」やねぇーーー!! って20年来の友人(同業者)にビクトリーショーで言われました!

私的には 「He who moves not forward, goes backward. (前進をしない人は、後退をしているのだ)」ってゲーテの名言!  前進やらが大好きで、後退の文字がないシカゴ社長でございます!!

 

賽(さい)は投げられた!

 

日本では「勝負を決める賽コロ(サイコロ)が振られて(投げられて)しまったら腹をくくる=事は既に始まっているのだから、考えている余裕はない、もはや断行するしかない」という意味ですね。 英語でも「The die is cast」と全く同じ意味のことわざがあります。 古代ローマ時代シーザーがルビコン川を渡ってローマに進軍した時に言った言葉です。  川を渡れば反逆者になる、後戻りの出来ない状況で勝負する決断をしたのですね。

社長をやっておれば会社の将来を大きく左右する決断をしなければならない時が何度かあります。 しっかりと考えつつも、迅速に、迅速に、迅速にするように心掛けています。  熟考して速攻で勝負に出る、出たら後には引かない! 

 

大阪商人のシカゴ社長には「時は金なり!」の方が似合ってる?  とか「毒を喰らわば皿まで」なんて言わないでくださいね!

 

と言う事で東京浅草でのビクトリーショーに参加した翌朝の飛行機でロンドンに向かい、世界最大のミリタリーイベントであるWar and Peace Showに参加して来ました。  昨年までの数年間は同じ英国でも、もっと南(ドーバー海峡より)のフォークストンで行われていましたが、今回はシカゴ社長が20年近く通い詰めたベルトリングに戻っての仕切り直しです。

仕切り直しとはショーの主催者が変わってだんだんとダメになっていくイベントを何とか過去の栄光を取り戻そうと「ベルトリング」の名前で親しまれたベルトリング村にあるHop Farm Family Parkでまた始めたと言うことです。 親しい業者の多くが見切りを付けて来なくなったこのイベント…。  東京に続けてまたイベントなんて、それも落ち…、いやいやシカゴのビジネスには止めとこうはありません!

 

今回の旅程はこんな感じ。 


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いつもはショー会場に一週間近く泊まり込みなんですが、今回は早く切り上げて新しく始めるビジネス・パートナーになるかもしれない業者の所へ行ってきます。 そしてシカゴ英国工場では世界中から届いた品の整理と加工という大仕事が!

 

イベント近くのホテルはロイヤル・エアフォースと関係があるのかホテル中に第二次大戦時の写真やポスターが飾られています。 出張第一日目からミリタリーから逃れられない、幸先がエエかも!

 

多分Battle of Britainの時に英空軍の飛行場が近くにあってパブを兼ねた築300年程のこのホテルがパイロット達の憩いの場だったのでしょう。



会場入ってすぐにスピットファイアとハリケーンがお出迎え!  場所は変わってもいつもと同じです。


 

場所柄、英空軍コスプレが似合いますね! 



大戦中には英国のそこら中に空軍の飛行場があったので軍用機のパーツもまだまだ出てきます。←再利用可能なタイヤなどが多いですが…、残念ながら機体は掘り起こされた部品しかありません。



掘り起こされた品と言えばコレ、第一次大戦の西部戦線跡で今でもこんなに発掘されます。



タンク屋さん。

1/3のホーカー・ハリケーン!  デッ、デカイ !!

 

Zeppelin Bar (笑)



ロイヤル・エアフォース・ラウンジ!



大人のG.I.ジョー、フルメタル・キットでもう子供のオモチャではありません。

お馴染みの走る1/6 戦車!  シカゴ・ランドの裏庭で「クルスクの戦車戦ゴッコ」をしたら楽しいでしょうね!


 

「M3 Scout Car」もいいけど「Willys 6 Wheel Jeep」もいいね!  シカゴ・ランドが出来たら一台はソフト・スキンが欲しいです!



軍用車両は沢山売り物が出ていました。 珍しい銃に比べるとお得感がありますね。



これで300万円位(銃は別)

今回一番心が動いたのはコレ、知り合いの業者の品なので仕入れには問題ありませんが、日本では売れるかと言うと…。



やっぱりロイヤル・エアフォースが似合いますね!

 

会場の出口←初日にしたら人が少なくて寂しいかったです(涙)。

 

イベント中に「ヒースロー空港にスイスからの貨物が届いた」との朗報が!  これはスタッフ・キートン氏が一人で進めた案件です!! スタッフが社長の手を借りずに一つの大きな商談を成功させるとは!

日本唯一の鉄砲(無可動)屋として賽は投げられているので、シカゴ社員が一団となってトコトンやりまっせ!  と言うことでイベントを半日で切り上げ全ての仕事を一日前倒しにしてGO! GO!! GO!!!

銃ビジネスは海外から荷物が届いた時ほど嬉しいことはありません!! ←無事に通関が終わったらの話ですが…。

ではこれから一週間英国工場で頑張ります!!

 

 

本日のワンポイント情報!!

 

 

大阪店在庫品の Vz.61 スコーピオン 短機関銃 (ブルー仕上げ) のHPとD/P(詳細画像) を本日新たにアップいたしました。ぜひHPをご覧ください。 >

 

Vz.61 スコーピオン 短機関銃 (ブルー仕上げ) (8万円、税別)>


2017.07.27 Thursday

M31短機関銃後期型と継続戦争

皆様こんばんは、先日暑い中大阪店のエアコンが不調となったので急ぎ修理して貰って「気持ちいい〜」と冷風を浴びたらプチ夏風邪をひいた貧弱ナベでございます。

 

本日は前の「M31短機関銃前期型と冬戦争」に続きましてこちら「M31短機関銃後期型と継続戦争」でございます。 もう少し後でいいや〜とお気楽に構えていたら、思いの外ヒット商品でナント大阪店在庫最後1挺の後期型となってしまいました・・・早くブログにしないと。 しかしこの短機関銃マズル部分が伸びただけでえらい雰囲気が替わりますね。

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以前ご紹介したスオミ短機関銃前期型を装備したフィンランド軍の大活躍により、1939年11月〜1940年3月の冬戦争でフィンランドはソ連の猛攻を何とかしのぎ切りカレリヤなどを割譲したものの独立を守りました。 しかし1941年6月に「あれ?ちっこいフィンランドにあれだけ苦戦するなんてソ連なんてデカイだけで見かけ倒しじゃん!冬になるまでに倒せるじゃん!対英戦飽きたじゃん!」と思った?ドイツが「ヒットラー信用できるし!ドイツマブダチだし!東京のゾルゲがドイツが攻めてくるなんて寝言ってるけどありえないし!」と思い込んでるソ連に攻め込み独ソ戦が開始。 大国に挟まれ選択の余地の無いフィンランドは枢軸側として強制自動参加とあいなりました。 写真はドイツから供与されたメッサーシュミットMe109Gを枕に昼寝するフィンランド兵

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バルバロッサ作戦が開始されるとドイツは破竹の勢いで広ーいソ連領内に侵攻、フィンランドもこれに呼応し対ソ戦を開始、冬戦争時にソ連に盗られたカレリヤなどの旧領を回復しました。 絶好調のドイツに一緒に目の前のレニングラード攻めようぜ!と持ちかけられるものの「これ以上行くとなんかいろいろヤバイ」と敏感に察したフィンランド賢明にも戦線を広げず、回復した旧領の位置でストップしました。 そしてドイツの進撃を横目に見ながら塹壕を掘り早々に防御体勢へ移行しました(彼我の力量を考えず、いけいけドンドンで戦線を無計画に広げまくって敗北した極東の某国とエライ違いだ・・・)。 写真はフィンランドのトンネル陣地、左の兵士が持ってるスオミ後期型にご注目。

 

しかし興味深いのはこの時期に前期型より凝った形状の長いマズルのスオミ後期型(上)を生産しつつ、ロシアのPPS43短機関銃を参考にした簡素なスオミM44短機関銃(下)も生産を開始していることです。 もしドイツが勝ち続けるようだったら凝った造りのスオミ後期型メインでソ連が盛り返してヤバくなったらスオミM44も大量生産しよう・・・と考えていたのでしょうか?

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戦争が始まって物資が無い!早よ作れ!数も作れ!となったら普通は下の図みたいに、マズルは簡略化!木部は無し!金属オンリー!プレスで大量生産!・・・と段々簡略化が進むのがパターンなのですが、そうでないのがまた興味深いですね。(※上は後期型、真ん中は前期型、下はM44)

 

しかしフィンランドが凝った造りの後期型、簡素なM44どっち作っろかな〜と言ってる(←想像です)前に同盟国のドイツはスターリングラードやクルスクで敗北、1944年1月にはレニングラードの包囲も打ち破られ敗北の色が急速に濃くなってきました。 そして1944年6月、英米軍のノルマンディー上陸作戦に合わせ、まず邪魔な北部のフィンランドに対するソ連軍の大攻勢(ヴィボルグ-ペトロザヴォーツク攻勢)が始まりました。 緊張した面持ちでスオミ後期型を手に塹壕に潜むフィンランド兵たち。

Finnish_soldiers_1944.jpg

 

冬戦争時の数が多いだけのソ連軍と異なり(しかも今回は雪の無い6月!)、過酷な4年間の対独戦で鍛え上げられ戦闘力が思いっきり向上したソ連軍は総兵力45万(芬軍当初7万、援軍で27万)、戦車800輌(芬軍110輌)、航空機1600機(芬軍248機)で攻撃、防衛線は破られフィンランド第二の都市ヴィープリも陥落してしまいました。 遂にフィンランドもここまでか?と思われましたがドイツ軍の加勢やフィンランド将兵の粘り強い戦いによりイロマンツィ、タリ=イハンタラ、ヴオサルミなどで勝利し、さしものソ連軍の大攻勢もストップしてしまいました。 チェコ軍のヘルメットを被ってスオミ前期を構えるフィンランド兵。

 

そしてその期を逃さずマンネルヘイム元帥やリュティ首相を首班とするフィンランド政府はソ連政府(バグラチオン作戦やドイツ本土への戦いもあるしあんまりフィンランドばかりに構っていられない)と休戦協定を締結、その後ラップランド戦争等があったもののフィンランドは占領を免れ、なんとか独立を維持しました。 結局WW2時に枢軸国で連合国に首都を占領されずに独立を保つことが出来たのはフィンランドだけでした・・・写真はフィンランドの銀輪部隊を閲兵するマンネルヘイム元帥とリュティ首相

Ryti_Mannerheim.jpg

 

大戦時、国を代表する兵器と言えば独はタイガー戦車、英はスピットファイアー戦闘機、露はT-34戦車、日は戦艦大和、米はリバティシップですが(?)国の危機を2度も救ったこのスオミの名を冠した短機関銃はフィンランドを代表する兵器といえるのではないでしょうか。  

因みに1944年フィンランドがソ連の軍門に下った際、日本のフィンランド駐在公使は国外退去となり表向きは日本と国交は断絶しましたが、裏ではアメリカの換字表やソ連の暗号解読書多数を送ってくれたり、引き続きフィンランド秘密諜報部が日本の駐在武官へ対ソ情報を提供してくれたそうです(日本の指導部がそれらを有効活用したかは不明・・・)。

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一般にスオミといったら「天然温泉」でしょうがナベ的には断然短機関銃「スオミ M31 短機関銃 (後期型)」はこちら

 

本日のワンポイント情報!!

買取りで、M1 ガーランド ライフル が東京店に入荷致しました。

価格が決まっており、すぐにご紹介可能な商品となっています。

HPとDetailed Photos(詳細画像) にアップしておりますので ぜひご覧ください。

 

M1 ガーランド ライフル (29万円、税別)


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